亡くなった人のスマホ、どうすればいい? 解約の前に知っておきたいこと
故人のスマートフォンは、急いで解約しないほうが安全です。回線を解約すると電話番号あての認証が受け取れなくなり、写真やアカウントを取り出せなくなることがあります。
わたしたちは大阪で仏具をつくっている四方工業という会社です。故人のスマートフォンを納める供養の家具をつくっているため、「スマホをどうすればいいか分からない」というご相談をいただくことがあります。この記事は、そのときにお伝えしている内容をまとめたものです。
商品の話は最後に少しだけ触れますが、それ以外は手続きと、判断のための情報です。
解約を急がなくていい理由
葬儀が終わって少し落ち着くと、「携帯電話を解約しなければ」と思い当たります。月々の料金が引き落とされ続けるので、早く手続きをしたくなるのは自然なことです。
ただ、順番を間違えると戻せないことがあります。
いま多くのサービスは、ログインのときに電話番号あてのSMSで確認コードを送ります。写真を預けているクラウド、ネット銀行、各種の会員サービス。これらはすべて、その電話番号が生きていることを前提にしています。
回線を解約すると、その番号は使えなくなります。すると、パスワードが分かっていてもログインできない、という状態が起こります。故人のスマートフォンに入っている写真がクラウドにも保存されていた場合、端末が壊れたときに取り出す手立てがなくなります。
一方で、解約を遅らせても失うのは月々の料金だけです。数千円の負担と、二度と取り出せなくなる写真を比べたとき、急ぐ理由はそれほどありません。
数ヶ月分の料金が気になる場合は、より安い料金プランへの変更や、家族が番号を引き継ぐ「承継」という手続きもあります。これらは各社の窓口で相談できます。
解約の前に確認しておきたいこと
順番としては、次のようになります。
写真と動画の保存先を確かめる
端末の中だけにあるのか、クラウドにも上がっているのか。端末の中だけなら、パソコンや外付けの機器にコピーしておきます。クラウドにある場合は、そのアカウントに今後もログインできるかを確認します。
連絡先を書き出しておく
葬儀の連絡や、故人が付き合いのあった方への挨拶で必要になることがあります。後からでは辿れない関係が、スマートフォンの中にだけ残っていることは珍しくありません。
継続課金されているものを確認する
動画や音楽の定額サービス、アプリの課金、通販サイトの有料会員。回線を解約しても、これらは自動的には止まりません。クレジットカードから引き落とされ続けます。
家族が使っているサービスがないか確認する
故人の契約で家族の回線が動いていたり、家族で共有しているサービスの管理者が故人だったりすることがあります。この場合、解約すると家族側にも影響が出ます。
端末を工場出荷状態に戻す「初期化」は、必ず最後です。これをすると中身は戻りません。
ロックが開かないとき
ここが最も難しい部分です。
まず知っておいていただきたいのは、携帯電話会社ではロックを解除できないということです。ショップに持ち込めば何とかなる、と考えて何度も暗証番号を試すのは、かえって危険です。
iPhoneの場合、設定によっては、パスコードを一定の回数間違えると端末内のデータが自動的に消去されます。Androidの場合も、失敗を重ねると待機時間が延びていき、最終的にはGoogleアカウントの情報がないと初期化後に使えなくなる仕組み(保護機能)が働くことがあります。
つまり、心当たりのない番号を当てずっぽうで試すのが、いちばん危ないのです。
心当たりがある番号(誕生日、記念日、よく使っていた数字)がいくつかに絞れているなら、それを慎重に試す。絞れないなら、いったん手を止める。これが安全な進め方です。
生前にご本人が設定していれば、利用できる制度もあります。Apple には、あらかじめ指定した家族がアカウントにアクセスできる仕組みがあり、Google にも、一定期間使われなかったときに指定した相手へデータを渡す設定があります。どちらも本人が生前に設定していた場合に限られますが、確認する価値はあります。
いずれも当てはまらない場合、データを取り出す専門の業者に相談するという選択肢もあります。費用はかかりますし、必ず成功するとも限りません。急いで決める必要はないので、まずは端末を安全な場所に保管しておいてください。
解約しても、端末は手元に残ります
意外に知られていないことがあります。
回線を解約しても、スマートフォン本体は手元に残ります。電話やSMSは使えなくなりますが、端末が壊れたわけではありません。Wi-Fiにつなげば、中に保存されている写真は見られますし、アプリも多くはそのまま動きます。
「解約する」と「手放す」は別のことです。
ここを混同して、解約の手続きと一緒に端末を下取りに出してしまい、後から悔やまれる方がいます。下取りや回収に出すと、中身は消去されて戻りません。回線の契約を終わらせることと、端末をどうするかは、別々に決められます。
すぐに決めなくて構いません
手続きの話はここまでです。
実際にご相談をいただくなかで多いのは、手続きが分からないという話よりも、「捨てられない」という話です。
引き出しの奥にしまったまま、何年も経っている。たまに充電して、写真を見返している。電源も入れないまま、箱に入れて置いてある。どうするか決められないまま、そのままになっている。
こうしたお話を、めずらしいこととは思っていません。
スマートフォンは、その人が撮った写真、交わしたやりとり、聴いていた音楽が、そのまま残っている物です。ほかの遺品とは少し違う重さがあります。それを形見と呼ぶか、遺品と呼ぶか、ただの機械と呼ぶかは、人によって違っていいはずです。
決められないまま持ち続けることは、後ろ向きなことではありません。時間が経ってから決まることもあります。
置き場所をつくる、という選択
わたしたちが Ending Furniture(仏具)をつくるようになったのは、この「決められない」という状態に、ひとつの形を差し出せないかと考えたからです。
引き出しにしまうのでも、手放すのでもなく、置く場所をつくる。位牌の代わりにスマートフォンを置いて、手を合わせられるようにする。そういう供養のかたちがあってもいいのではないか、と考えました。
奈良県川上村の木工職人とともに、国産の木でつくっています。
ただ、これは数ある選び方のひとつです。引き出しにしまっておくことも、写真だけ残して端末は手放すことも、同じように自然な選択だと思っています。
もし興味を持っていただけたら、商品のページをご覧ください。
よくあるご質問
故人のスマートフォンのロックは、携帯電話会社で解除してもらえますか
できません。携帯電話会社が対応できるのは、契約の解約や名義の変更といった契約上の手続きです。端末のロック解除やデータの取り出しは、本人以外には原則として対応していません。
解約すると、中の写真は消えてしまいますか
端末に保存されている写真は消えません。回線が使えなくなるだけです。ただしクラウドに保存されている写真は、そのアカウントにログインできなくなると取り出せなくなることがあります。解約の前に確認してください。
いつまでに解約しなければいけませんか
期限はありません。名義人が亡くなっていても、料金が支払われている限り契約は続きます。落ち着いてから手続きをして問題ありません。
解約した後、同じ電話番号を使い続けることはできますか
解約すると、その番号は一定期間の後に他の方へ再割り当てされます。番号を残したい場合は、解約ではなく家族が引き継ぐ「承継」の手続きを窓口で相談してください。
端末を下取りに出しても大丈夫ですか
出す前に、取り出したいデータがすべて手元にあるか確認してください。下取りや回収に出すと中身は消去され、戻すことはできません。迷っている場合は、そのまま保管しておくことをおすすめします。
この記事は、大阪で Ending Furniture(仏具)の製造販売を行う四方工業株式会社が作成しました。手続きの詳細は各社の公式案内や窓口でご確認ください。
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